3人目との逢瀬
その日、私は1人だったので、本当は健太郎とご飯ぐらい行きたかった。けど、家で奥さまがご飯作って待ってるので、そのまま一緒に駅まで歩いて、帰り路へ。
乗る電車は違うのに、またまた、私が乗る電車のホームまで、送ってくれたの。もう、そういう優しいところは、大好きなんだけどね。そして、電車が発車した後に来るLINEも。
でもやっぱり、一緒にご飯行けないのは、寂しかったな。一人でご飯食べるのは、寂しいな。そんなことを考えてる間に、最寄り駅に到着。最寄り駅に到着して、すぐに、浩司にLINEする。
――家にいる?
既読がつかない。
――ご飯まだだったら、行かない?
既読がつかない。
――今日、まっすぐ帰るって言ってたから、もう家かな?とりあえず、浩司君の家に向かうけど、いなかったら、帰るねー
既読がつかない。あれ?おかしいなー。今日は、何も予定ないって言ってたんだけど。もしかしたら、夕飯食べちゃってるのかも。とりあえず、寄ってみて、いなかったら、帰ろーっと。と、彼の家に着き、インターンフォンを鳴らす。
反応なし。やっぱり、留守だったかー。仕方ない。帰るかな。…と思いながらも、15分だけ待ってみる。
その日は、夜に急に冷え込みがきつくなった日。外で待っているのにも、限界があった。スプリングコートしか着ていなかった私は、15分が限界で、すぐに帰宅した。彼がLINEを読んだのは、それから1時間以上経ってからだった。
私は、家に帰り、仕事をしていた。一人なので、他にやることもないし。するとそこに浩司からLINEが。
――友達と飲みに行ったんじゃないの?
はぁっ?
――旦那もいるんでしょ?
はぁっ?!
――仕事してました。
いやいやいやいや…。私、「会いたい」と言って、あなたの帰りを待っていたんですけど…。
そりゃ、勝手に待っていたかもしれないけど、今日、
――チラッと顔見せに会いに行きたいな♡
――ありがとう。無理しないでね。
こんなやり取り、してましたよね?!だったら、まずは、待たせちゃったことに関して、一言あってもいいんじゃないの?
――ごめん!待たせちゃったね。大丈夫?レイナが遅くなるかと思って、仕事してたよ。
とか、言えないの?
――もう寒くて冷えてきちゃったから、帰るね。
って送ってるんだから、それに対してはコメントなし?!なんか、彼から届いたラインを見て、ものすごーーーーくイラッとしちゃった私…。
でも、気持ちを抑えて、
――お仕事お疲れさま。遅くまで大変だったね。
と、返したら、彼の方から「会いたい」と言ってきた。いや、もう23時だし…。私、かなり眠たくなってるし…。
――家までタクシーでお迎え行くよ。
タクシーでお迎えに来られても、眠いものは眠い。でも、私、ずっと旅行に行ってて、会えてなかったから、贖罪の意味を兼ねて、お迎えに来てもらうことにした。ここは彼の顔を立ててあげようかと…
自宅前にタクシーが停まり、タクシーに乗り込む。中には浩司の姿が。なんとなーく、さっきのイラッを引きずっていたこともあり、まともに顔を見ることが出来ない。
あとから聞いたんだけど、私がタクシーに乗り込んだ瞬間、私にキスしようと思ったんだって。さすがにタクシーの運転手さんがいるから、我慢したらしいんだけど…。
ウケる。この温度差…。笑
でも、彼が私を想う気持ちは、本当だと思うし、私も、想われているのは、素直に嬉しいし…
彼の部屋に入ると、寒かった私の為なのか、部屋が心地よく温められていた。身体が温まって、私の怒りの糸も溶け始め…私の方から、彼へハグしてあげた♡
あ、これね、結構効果的☆彼女からのハグって、男性は嬉しいみたい。これするだけで、男性は「甘えられてる」と思うんだと思う。彼の首に手を回して、彼の胸に顔をうずめる。身長が180センチ以上ある彼とのキスは、正直、首が異常なほど疲れる…笑
だから、私はハグする時は、あんまりキスをしないんだけど、この時は、ハグした私のあごをクイッと持ち上げ、彼の方から、キスされちゃった。
く…首が痛い…笑
相変わらず埋まらない、私と彼との温度差に、心の中で苦笑いしながら、彼に身を委ねた。