未分類

41)狭い空間の中に2人の不倫相手がいたら、いつバレちゃうかと思って冷や汗ダラダラもんだよね?!

グループセッション

とあるトレーニングのグループセッションの日。4名のご予約が入っていた。トレーニングマットを敷き、生徒さんたちが入ってくるのをお出迎えする。実は…この日は、浩司と正孝が、偶然、同じ枠に予約を入れてくれていた。

そう、まさかの、Wブッキング!!!

でも、他にも人いるし、男性同士、そんなに会話もしないだろうと、私も、トレーナー業に徹することにした。

トレーニングマットは前列2枚、後列2枚敷いていたが、な、何と…!!

まさかの、浩司と正孝、お隣さーんっ!笑

うわーマジかーーー

若干のやりにくさを感じながらも、私は淡々とトレーニングを進めていく。

お互いに、何か思うことがあるのかな…

特にヤキモチ妬きの浩司は、チラチラと隣りで黙々とトレーニングを行う正孝を観察しているようだった。

恋する男の、第六感?

そんなものが働いているのかと思い、私は、ヒヤヒヤしながら、トレーニングを続け、無事に、既定の45分のトレーニングを終えた。

ヒヤヒヤの見送りタイム

セッションが終わると、彼らは同時に更衣室へ向かう。更衣室で、会話とかするのかな…?更衣室は、どんな雰囲気なんだろう…?

そんなことを想像しながら、私はスタジオで、彼らが出てくるのを待つ。

スタジオのスタッフたちも、このカオスな状況に、息を呑みながら見守っていた。
レイナにマッチングアプリを勧めてきたスタッフたちなので、レイナから全ての報告を受けており、今の状況も全て把握していたが、いざとなったらフォローするよ、というような状況にレイナも緊張しつつも、いつも通り平静を装っていた。

私は、基本的に、レッスンの後、一人一人、外までお見送りをしている。最初に更衣室から出てきたのは、正孝だった。

「お疲れ様でしたー」

「お疲れ様です」

それだけの会話を交わす。そのまま、エントランスまで見送り、こっそりと、誰にも聞こえないような声で「LINEするね☆」と、伝える。すると、正孝も静かに笑顔でうなづく。

 

他のトレーニーたちも見送り、最後に浩司が出てくる。

「ありがとうごさいましたー」

見送りの際、彼は、私に「あとでね!」と、小さい声で伝えてくる。きっと、彼の中では、特別感、あるんだろうな。この先生は、俺の女だ!という、感情がだだ洩れしてる、セッションだった。

 

浩司の視線を感じながらのセッションは、正直、ものすごくやりにくかった。

 

その点、正孝は、しっかりと、セッションに集中してくれる。なので、正孝とのセッションはやりやすかった。

問題は…浩司だな。

 

浩司は、セッションの間も、本当に落ち着かない様子だった。私のことを常にガン見して見続けるし。そりゃあ、手本を見せている時は、見てくれてもいいんだけど、自分が動くときは、しっかり集中して欲しい。だって、体を動かしているんだから、怪我にもつながってしまうし、そんなことされたら、本末転倒。身体コンディションを整えるために来てもらってるのに、おかしくされたら困る。

浩司は、もともと、運動があまり得意に見えない。本人は、自分は運動が出来る…と言っているが、トレーナーの立場から言わせると、まず、体幹はないし、バランス感覚も悪い。だからこそ、しっかり集中して、身体をしっかり整えてもらいたい。

プライドの高い浩司は、自分の体幹がないことやバランス感覚がないことを認めなくないようで、レイナがトレーナーとしてアドバイスしていたとしても「言っとくけど僕は運動神経いいんだよ」と、頑なに忠告を認めようとしない。
だけど、歳も歳だし、しっかり整えてもらうことが目的なんだよね。

 

そう思ったから、ジムに誘ったのに、私ばっかり見ているだけなら、誘わなければよかった。とはいえ、お金を落としてくれる人…という意味では、大変ありがたいので、来てもらいたいし…。

 

その日、浩司からランチに誘われていたので、私はセッションが終わって、片付けなどを終えた後、浩司が待つカフェへと急いだ。



浩司

先にお店に入って、注文しててね、と言ったのに、彼は、注文もせず、待っていた。

お店の人に、「すみません」と、頭を下げ、彼の待つ席へ向かう。「お待たせしました!」浩司は、嬉しそうに微笑む。

もうね、この人の想いは、重いほど伝わる。だって、他のトレーナーたちにも、バレちゃうほど、私の事好きオーラ出てるし。笑

 

好きでいてくれることは、全く問題ない。でも、それと、これは別。レッスンの最中に、集中せず、キョロキョロ周りを見渡し、目付きの悪い顔をして、ガン見するのは、マジでやめて欲しい。

私は、その思いを、彼にぶつけた。

すると、予想通り…というか、何というか…彼には、まったく悪気がなかった。キョロキョロ周りを見ていたのは、自分のやっている動作が、合ってるのかどうか、他の人がどうやっているのかを見ただけだった。目付きが悪いのは、視力の問題と、飄々と発言する始末…

私のことをじっと見ていたことだけは、素直に認めていたが、謝罪の言葉はなかった。

「なんで見ちゃダメなの?何がダメなの?」

はい、この人、私が伝えてることを全く理解してない。というか、理解しようともしていないんだろうね。
あーーーーーーちょっとだけ、めんどくせー!と、思ってしまった…。

 

めんどくせー!と思った浩司だが、私のセッションについて、細かく分析し、評価してくれ、その内容が、なかなか的確で、的を得ている部分が大きかったので、正直、浩司を切り捨てる…という考えはない。

私は、自分にメリットのある人としか、付き合いたくないので、そういう意味では、浩司のレイナに対する愛情の重さは、とても重くて、重すぎるぐらいだし、正直、面倒くさいと思うことも多々あるんだけど、浩司は、私の幸せと私の成功を、願ってくれている人なので、そこにあやかりつつ、うまくやっていくしかないと思う。

 

私と浩司との関係を知る同僚にも、「浩司さん、面倒くさいね…。ヤバイね…」と言われてしまったけれど…。笑

私なりにコントロールして、自尊心を維持しつつ、彼の満足度を上げるお付き合いを、していかないと…

 

でも、私が伝えたかったこと…

・他の人をガン見するのはやめて

・私をガン見するのもやめて

・ちゃんとセッションに集中して

というのは、改めてきちんと伝えられたので、来週からは変わってくれるといいんだけどな。

どこまで理解してくれてるのかは、さっぱりわからないけれど。

言い方は悪いけど、レイナも、浩司さんのことを、都合よく理解して、都合よく解釈して、都合のいいポジションでお付き合いしていくしか、彼と付き合っていく術はないような気がしていた。

-未分類